蟻も熱中症になるのでしょうか

 前のブログで、「心の中の風を静めるには、吐く息・吸う息になりきり、なりきってみましょう。」と提案しましたが、「息」ということで少し考えてみましょう。
 今夏は異常な暑さで各地で熱中症の人が続出しています。そこで私が二、三人の友人に「蟻も熱中症になるのかな」と話しかけると、友人たちはかならず「ハァ、ハァ」と笑います。なぜ笑うのでしょうか。その質問が突拍子のないものだからでしょうか。でもその質問を聞いた人の中には、気が付かないにしても、「ああ、蟻も人間も同じかな」という思いが生じたからではないでしょうか。
 蟻も私たちと同じく息をしています。その点では蟻と人間とは同じです。サンスクリットで息のことをプラーナといいます。このプラーナに所有を表す「カ」を付けた「プラーナカ」は「息をするもの」という意味で、この語は「小動物」あるいは「虫」という意味です。間違いなく蟻も息をしているのですね。今、熱い地上のあちこちではたらき回っている蟻さんたちが吐いた息を私は吸っているかもしれません。
 38億年前に生じた根源的な生命がいつ頃か息をし始めたのでしょうか。その息の循環が、何十億年という時の流れを経て、いまこの私の吐く息・吸う息につながっているのです。こう思うと不思議な気持ちになります。人間だけではありません、すべてのいのちを支えている有り難い吐く息・吸う息に今日も感謝しつつ、なりきっり、なりきっていこうと思います。
 時には地上に眼をやって、蟻さんたちに「こんにちは」と挨拶してみてはどうでしょうか。